日本の家庭は1年におよそ4.5万円を調味料に使い、その額は過去最高を更新し続けています。けれど中身は大きく入れ替わり——食用油・だしの素・つゆは増え、しょうゆ・みそ・塩は減っています。国内のしょうゆ出荷はピークの半分になった一方で、輸出は35年で5.6倍。このページでは家計の調味料支出・品目別の増減・しょうゆ味噌の長期推移・都道府県別の生産・輸出・塩分摂取量・輸入相手国・価格の動き・地域差・国内生産を、総務省 家計調査/消費者物価指数、厚生労働省 国民健康・栄養調査、WHO、財務省 貿易統計、UN Comtrade、業界団体の一次統計から拾い、毎年更新しています。数値はまとめてCSVでも配布しています。
家計の調味料支出の全体像
15年前(2010年)
35,858円
単身世帯(2025年)
17,721円
日本の家庭が1年に調味料へ使う金額は、二人以上世帯で45,274円(2025年)と過去最高を更新した。15年前の35,858円から約26%増えている。ところが中身は大きく入れ替わり——後で見るように、増えているのは食用油・だしの素・つゆ・ドレッシングで、しょうゆ・みそ・塩といった和の基礎調味料はむしろ減っている。「総額は増えても、和の土台は静かに縮む」——それが日本の食卓のいまだ。なお家計調査の「調味料」区分は砂糖・ジャムを含み、食用油は別区分(油脂)で集計される点に留意したい。
出典:総務省統計局「家計調査」(品目分類・二人以上の世帯/1世帯あたり年間支出・暦年)。単身世帯は同調査の単身世帯集計。
品目別支出|増えた調味料・減った調味料
増えたのは「洋」と「簡便」、減ったのは「和の基礎」
1世帯あたり年間支出の増減率(二人以上世帯・2025年 対 2010年=15年間)
増えた調味料
減った調味料
15年間の増減をならべると、日本の食卓の方向がはっきり見える。食用油(+46.5%)・だしの素(+44.3%)・ケチャップ(+41.4%)を筆頭に、つゆ・たれ、マヨネーズ、ドレッシングといった「洋風・時短・かけるだけ」の調味料が軒並み3〜5割増えた。反対に、食塩(−17.6%)・しょうゆ(−14.0%)・みそ(−7.6%)という和食の三本柱は目減りしている。作る手間の要る和の味つけから、そのままかけて使える調味料へ——世帯の少人数化と中食・時短志向が、支出の内訳に刻まれている。だしの素やめんつゆについては発酵調味料の基礎やうま味の科学もあわせて読みたい。
| 品目 | 2025年 | 2010年 | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 食用油 | 4,721 | 3,223 | +1,498 | +46.5% |
| 風味調味料(だしの素) | 2,767 | 1,918 | +849 | +44.3% |
| ケチャップ | 823 | 582 | +241 | +41.4% |
| つゆ・たれ | 5,682 | 4,273 | +1,409 | +33.0% |
| マヨネーズ類 | 1,731 | 1,328 | +403 | +30.3% |
| ドレッシング | 2,271 | 1,749 | +522 | +29.8% |
| ソース | 840 | 777 | +63 | +8.1% |
| カレールウ | 1,552 | 1,539 | +13 | +0.8% |
| みそ | 2,345 | 2,537 | −192 | −7.6% |
| しょうゆ | 1,812 | 2,106 | −294 | −14.0% |
| 食塩 | 453 | 550 | −97 | −17.6% |
出典:総務省統計局「家計調査」(二人以上の世帯・品目別年間支出)。増減率は当サイトで算出(2025年÷2010年)。「めんつゆ」は独立品目がなく「つゆ・たれ」に含まれる。食用油は油脂区分で調味料計には算入されない。
しょうゆ・みその長期推移|「和食離れ」の実像
しょうゆの出荷はピークから半減。「和食離れ」の実像
しょうゆ出荷量と1人あたり消費量(しょうゆ情報センター・暦年)
出荷量(1979年)
約125万kL
ピークは1970年代前半
出荷量(2024年)
約68万kL
1979年比 ▲45.6%
1人あたり(2024年)
5.50L/年
1979年 10.77L からほぼ半減
みその生産量の推移(工業生産・農林水産省系列)
日本の食卓の土台だったしょうゆは、出荷量が1979年の約125万kLから2024年は約68万kLへと45.6%も減った。1人が1年に使う量も10.77Lから5.50Lへとほぼ半分になり、いまや消費水準は1930年(昭和5年)並みに戻っている。みそも1973年の約59万tから2025年は約47万tへと2割減った。核家族化・共働き・食の外部化で、家庭で一からだしを取り味をつける機会が減ったことが、この長期低下の背景にある。しょうゆやみその成り立ちは発酵調味料の基礎知識で詳しく解説している。
出典:しょうゆ情報センター(日本醤油協会)「統計資料」(出荷数量・1人あたり/輸出分を含む)/みそ生産量=農林水産省「食品産業動態調査」(工業生産部門)。しょうゆは「出荷量」、みそは「生産量」で集計基準が異なる。みそには別に全味工連加盟企業の「出荷量」系列(2025年 約36万t)があり母集団が異なる。
しょうゆはどこで造られているか|都道府県別の出荷
醤油の4割は千葉でつくられている
都道府県別のしょうゆ等出荷数量(2024年・kL・しょうゆ情報センター)
地方別に束ねると、関東と近畿で3分の2
- 関東甲信越 326,056kL
- 近畿 124,594kL
- 中部 71,894kL
- 九州 63,501kL
- 四国38,855・東北30,509・北海道16,760・中国8,850kL
| 順位 | 都道府県 | 出荷数量(kL) | シェア |
|---|---|---|---|
| 1 | 千葉 | 256,218 | 37.6% |
| 2 | 兵庫 | 107,163 | 15.7% |
| 3 | 群馬 | 46,869 | 6.9% |
| 4 | 愛知 | 43,920 | 6.4% |
| 5 | 香川 | 36,194 | 5.3% |
| 6 | 大分 | 25,741 | 3.8% |
| 7 | 青森 | 20,684 | 3.0% |
| 8 | 三重 | 17,411 | 2.6% |
| 9 | 北海道 | 16,760 | 2.5% |
| 10 | 大阪 | 15,750 | 2.3% |
| 全国 | 681,019 | 100% |
千葉+兵庫
53.4%
2県だけで全国の過半
上位4県
66.7%
千葉・兵庫・群馬・愛知
企業(工場)数
1,013
1955年の6,000から83%減
醤油は全国どこでもつくられているように見えて、出荷の実態は極端に偏っている。千葉だけで全国の37.6%、兵庫と合わせると53.4%——2県で過半を占める。千葉は野田・銚子、兵庫は龍野という近世からの醸造地で、いずれも大豆・小麦・塩の集散と水運に恵まれた土地だった。関東の濃口と関西の淡口というしょうゆの種類の対比は、そのままこの2県の対比でもある。3位以下は群馬・愛知・香川(小豆島)・大分と続き、いずれも地場の醸造文化を持つ地域である。地方ごとの個性はたまり・白・再仕込み醤油の図鑑で。
一方で担い手は減り続けている。醤油をつくる企業(工場)は1955年の6,000から2024年の1,013へ、約83%減った。出荷量がピークの半分に減るあいだに、つくり手はそれ以上の速さで減ったことになる。残った蔵の多くは小規模で、地域ごとの味の違いを支えているのはこの層だ。
出典:しょうゆ情報センター(日本醤油協会)「醤油の統計資料(2024年実績)」2.(2)都道府県別しょうゆ等出荷数量/1.企業(工場)数の推移。都道府県の合計が全国計681,019kLと一致することを確認した。地方別の小計も同資料の集計行をそのまま用いており、8ブロックの合計は681,019kLと一致する。シェアと減少率は当サイトが算出。「出荷数量」であり生産量ではない(輸出分を含む)。
輸出|日本の調味料は世界へ出ていく
国内の出荷は半減した。だが輸出は35年で5.6倍になった
しょうゆの輸出数量の推移(kL・しょうゆ情報センター)
輸出数量(2024年)
47,490 kL
前年比 +15.5%
輸出金額(2024年)
約122億円
前年比 +21.3%
出荷に占める輸出
7.0%
79の国・地域へ
国内の醤油出荷がピークから半減した話には、続きがある。輸出は1989年の8,419kLから2024年の47,490kLへ、35年で5.6倍に伸びた。金額では約122億円、前年比で数量+15.5%・金額+21.3%と直近も加速している。いまや出荷681,019kLの7.0%が海外向けで、届け先は79の国・地域にのぼる。海外に日本食レストランが増え、現地のスーパーに醤油が並ぶようになった変化が、そのまま数字に出ている。醤油が世界へ出ていく道筋そのものは17世紀にさかのぼる——その経緯は醤油の世界伝播史にまとめている。
| 順位 | 輸出先 | 数量(L) | 金額(千円) |
|---|---|---|---|
| 1 | アメリカ合衆国 | 5,157,099 | 1,988,477 |
| 2 | ベルギー | 3,834,268 | 701,598 |
| 3 | 英国 | 3,716,745 | 808,488 |
| 4 | オランダ | 3,385,560 | 772,192 |
| 5 | 中国 | 3,334,673 | 875,220 |
| 6 | タイ | 2,977,593 | 457,148 |
| 7 | 韓国 | 2,764,692 | 757,935 |
| 8 | フランス | 2,179,422 | 456,610 |
| 9 | オーストラリア | 2,160,914 | 824,646 |
| 10 | ドイツ | 2,039,840 | 573,272 |
| 合計(79の国・地域) | 47,489,639 | 12,189,064 |
相手先の顔ぶれも読みどころだ。数量・金額とも1位はアメリカだが、2位以下にベルギー・英国・オランダ・フランス・ドイツと欧州が5か国入る。ベルギーとオランダは大陸の物流拠点でもあり、そこから周辺国へ回る分を含むとみられる。アジアではタイ・中国・韓国が上位で、それぞれ自前の醤(ジャン)文化を持つ土地に日本の醤油が入っていることになる。1リットルあたりの単価で見るとアメリカ・オーストラリア・韓国が高く、ベルギー・タイは低い——業務用の大容量が多いか、小売用の小瓶が多いかの違いが表れている。
数字の裏取り。この輸出量は、まったく別の一次統計とも符合する。国連の貿易統計(UN Comtrade)で日本のHS210310(醤油)の2024年輸出を引くと80,529千USD・54,450トン。業界統計の約122億円・47,490kLは、比重と為替を考えれば同じ規模を指している。作成主体も集計経路も異なる2つの統計が一致することは、この数字を安心して引ける根拠になる。
出典:しょうゆ情報センター(日本醤油協会)「醤油の統計資料(2024年実績)」2.(6)輸出数量の推移〔1989年〜2024年〕/UN Comtrade(HS210310・2024年・日本の輸出)。倍率(5.6倍)と出荷に占める比率(7.0%)は当サイトが算出。出荷数量は輸出分を含むため、輸出比率は「出荷のうち海外向けの割合」の意味である。
塩分摂取量の推移|目標までどれくらい
塩分は14年で0.8g減った。それでもWHO目標には4.6g足りない
日本人(20歳以上)の1日あたり食塩摂取量の推移(g・厚労省 国民健康・栄養調査)
現状(2024年・総数)
9.6g/日
男性10.5g/女性8.9g
食事摂取基準の目標量
男7.5/女6.5g
厚労省 2025年版(18歳以上)
WHOの目標
5g未満/日
現状との差 約4.6g
日本人の食塩摂取量は、2011年の10.4gから2024年は9.6gへと、長い目で見れば着実に減ってきた。ここに並べた2011年以降の系列では最も低い。それでも国内の目安(男性7.5g・女性6.5g未満)にはまだ届かず、WHOが掲げる「1日5g未満」まではおよそ4.6gの開きがある。日本の食事摂取基準の目標量は「WHOの推奨と日本人の実際の摂取量の中間値」として設定されており、WHO目標そのものより緩やかである点も知っておきたい。減塩は和の調味料の使い方の工夫が要になる——塩と減塩の基礎と、塩分量計算ツールもあわせて使ってほしい。
年齢が上がるほど、塩は増える
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 20〜29歳 | 9.9 | 8.3 |
| 30〜39歳 | 10.4 | 8.3 |
| 40〜49歳 | 10.1 | 8.4 |
| 50〜59歳 | 10.4 | 8.9 |
| 60〜69歳 | 11.1 | 9.3 |
| 70歳以上 | 10.6 | 9.2 |
| 総数 | 10.5 | 8.9 |
年齢別に見ると、男女とも60代がピーク(男性11.1g・女性9.3g)で、20代がいちばん低い。若い世代ほど和食の登場回数が少なく、汁物や漬物を食べる頻度も低いことが背景にあると考えられる。ただしこれは同じ人を追った数字ではなく、ある年に各世代を切り取った断面である点には注意したい。
出典:厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」p.17 図8(20歳以上・全国補正値/令和2・3年は調査中止)/「日本人の食事摂取基準(2025年版)」/WHO「Sodium reduction」ファクトシート(成人 ナトリウム2,000mg=食塩5g未満/日)。WHO目標との差(9.6−5.0=4.6g)と「系列で最も低い」の判断は当サイトによる算出で、厚生労働省の見解ではない。健康情報は一般的な統計の紹介であり、個別の健康判断は医療者にご相談を。
輸入調味料はどこから来るか
オリーブオイルは、9割がスペインとイタリアから来る
オリーブ油の輸入相手国(2024年・金額ベース・産地から日本への流れ)
主な相手国(輸入額の構成比)
日本
オリーブ油
約4.4万トン(2024年)
ほかの輸入調味料はどこから来るか(2024年・金額ベース・最大の相手国)
家庭に定着した輸入調味料は、産地がくっきり分かれている。オリーブオイルはスペイン(55%)とイタリア(35%)だけで輸入額の9割を占める地中海の寡占。こしょうや香辛料は中国が4〜5割で最大の供給国だ(ただし統計上、こしょうにはとうがらし・パプリカ類が同じ分類に混ざる)。バルサミコを含む食酢はイタリアが半分を占める。なおナンプラーなどの魚醤は、貿易統計に単独の品目コードがなく(ウスターソース等と同じ区分に混在)、相手国別の数量は公的には切り出せないため、この図には含めていない。品目ごとの選び方はオリーブオイルの図鑑・選び方、スパイスの基礎、酢の図鑑、魚醤ガイドで。世界のどこで何が作られ、どう運ばれるかは世界の調味料 生産・貿易統計と世界の調味料マップも参照。
| 順位 | オリーブ油 HS1509 | こしょう類 HS0904 | その他香辛料 HS0907〜0910 | 食酢 HS2209 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | スペイン 55.5% | 中国 43.3% | 中国 47.7% | イタリア 50.0% |
| 2 | イタリア 35.0% | インドネシア 16.0% | インド 13.8% | フランス 13.5% |
| 3 | トルコ 7.0% | マレーシア 14.5% | 韓国 8.0% | 中国 11.4% |
| 4 | ギリシャ 1.0% | ベトナム 14.0% | タイ 7.7% | アメリカ 10.8% |
| 5 | チリ 0.6% | 韓国 2.6% | グアテマラ 3.8% | スペイン 4.5% |
| 上位5計 | 99.0% | 90.3% | 81.0% | 90.3% |
出典:財務省「貿易統計」品別国別表(輸入・2024年確定)。構成比は輸入額(円)ベースで当サイトが算出。数量ベースでは順位が前後する場合がある(例:オリーブ油はスペインが数量約58%)。こしょう=HS0904、香辛料=HS0907〜0910、食酢=HS2209、オリーブ油=HS1509。
価格の動き|なぜ値上がりしているのか
値上がりの主役は、食用油とマヨネーズ
調味料の消費者物価指数(2020年平均=100・2026年7月)
この6年で調味料の値段は大きく上がったが、上がり方は品目でかなり違う。突出しているのは食用油(2020年比+67.4%)とマヨネーズ(+62.1%)だ。世界的な植物油相場の高騰が食用油を押し上げ、卵と油の両方を使うマヨネーズはそのコストを二重に受けた。とくに食用油は2026年5月の156.6から7月には167.4へ、わずか2か月で10ポイント以上跳ねている。砂糖・カレールウ・ソース・ケチャップが続き、しょうゆ(+21.3%)・みそ(+30.6%)は中位、食塩(+10.8%)と風味調味料(+7.7%)はもっとも落ち着いている。原材料をどれだけ輸入に頼るかが、値上がりの大きさに直結している。食用油の使い分けは食用油の基礎知識で。
| 品目 | 2020年12月 | 2026年5月 | 2026年7月 | 2020年比 |
|---|---|---|---|---|
| 食用油 | 99.1 | 156.6 | 167.4 | +67.4% |
| マヨネーズ | 98.8 | 162.8 | 162.1 | +62.1% |
| 砂糖 | 98.8 | 142.8 | 142.3 | +42.3% |
| カレールウ | 99.0 | 142.1 | 139.9 | +39.9% |
| ソース | 96.8 | 135.4 | 136.9 | +36.9% |
| ケチャップ | 97.3 | 138.1 | 136.2 | +36.2% |
| みそ | 98.3 | 129.3 | 130.6 | +30.6% |
| 油脂・調味料(中分類) | 99.0 | 124.6 | 127.0 | +27.0% |
| 調味料(小分類) | 99.0 | 121.2 | 122.6 | +22.6% |
| しょうゆ | 99.2 | 121.6 | 121.3 | +21.3% |
| ドレッシング | 99.2 | 112.3 | 112.8 | +12.8% |
| 酢 | 100.1 | 113.1 | 112.2 | +12.2% |
| 食塩 | 99.6 | 110.3 | 110.8 | +10.8% |
| 風味調味料(だしの素) | 100.3 | 106.5 | 107.7 | +7.7% |
出典:総務省統計局「消費者物価指数(2020年基準)」品目別価格指数(全国・月次系列・2026年7月分まで)。「2020年比」は指数−100として当サイトが算出した。なお消費者物価指数は2025年基準へ改定され、最新の公表は「2025年平均=100」の系列になっている(2026年7月分・2026年8月21日公表)。本ページは2020年からの値上がりを一続きで見るため、同時に公表されている2020年基準の系列を用いている。
世帯構造と調味料|単身化・年齢の影響
単身世帯は二人以上の4割弱。年齢が上がるほど多い
世帯主の年齢階級別・調味料の年間支出(二人以上世帯・2025年・円)
調味料の支出は世帯の形で大きく変わる。単身世帯は年17,721円で、二人以上世帯(45,274円)の4割弱にとどまる。一人分では使い切れず、外食や中食で済ませる場面が多いためだ。二人以上世帯の中では、料理の量が多い40〜60代がピーク(4万7千円台)で、子育てを終えた70代でやや下がる。なお2025年の「〜29歳」は集計世帯数が少なく数字が振れやすいため、単年の増減より全体の傾向として読むのが安全だ。少人数世帯の使い切りには調味料の保存ガイドが役立つ。
出典:総務省統計局「家計調査」(2025年・世帯主の年齢階級別/単身世帯集計)。29歳以下は小標本のため参考値。
地域で違う調味料の支出|県庁所在市別
調味料にいちばんお金を使うのは長野市、いちばん少ないのは相模原市
県庁所在市別の調味料の年間支出(総世帯・2025年・円/総務省 家計調査)
都市が小さいほど、調味料にお金を使う
32,295円
35,346円
36,106円
37,142円
| 多い順 | 支出 | 少ない順 | 支出 |
|---|---|---|---|
| 長野市 | 39,199 | 相模原市 | 26,336 |
| 富山市 | 38,973 | 那覇市 | 26,731 |
| 高松市 | 38,885 | 山口市 | 27,046 |
| 鹿児島市 | 38,445 | 仙台市 | 27,733 |
| 北九州市 | 37,199 | 千葉市 | 28,316 |
| 前橋市 | 36,976 | — | — |
| 水戸市 | 36,929 | — | — |
| 全国 | 34,693 | 最大÷最小 | 1.49倍 |
同じ日本でも、調味料にかける金額は住む場所でかなり違う。もっとも多い長野市(39,199円)と、もっとも少ない相模原市(26,336円)では1.49倍の開きがある。上位には長野・富山・高松・鹿児島・北九州・前橋・水戸と、家で作って食べる習慣が根強い中規模都市が並ぶ。逆に少ないのは相模原・那覇・仙台・千葉といった、大都市圏の通勤都市や外食・中食の比重が高い都市だ。実際、都市の規模で区切ると支出はきれいに並ぶ——大都市32,295円<中都市35,346円<小都市A 36,106円<小都市B・町村37,142円で、都市が小さいほど調味料にお金を使う。「調味料をよく買う」=「家で調理する」の代理指標と考えると、地域差はそのまま台所の使われ方の差になる。
読み方の注意。この章だけは「総世帯」(単身も含めた全世帯の平均)の数字で、他の章で使っている「二人以上の世帯」とは母集団が違う。県庁所在市別の品目別支出は総世帯でしか公表されていないためだ。単身世帯の割合が高い都市ほど平均は下に引っ張られるので、都市の順位は世帯構成の違いも映していることになる。
出典:総務省統計局「家計調査(家計収支編)」第11表「都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり年間の品目別支出金額」(総世帯・2025年計)。倍率と全国平均との差は当サイトが算出。都市階級は家計調査の区分(大都市=政令指定都市および東京都区部/中都市=人口15万以上の市/小都市A=人口5万以上15万未満の市/小都市B・町村=人口5万未満の市および町村)。家計調査の「調味料」区分には砂糖・ジャムが含まれ、食用油は別区分(油脂)である。県庁所在市の値であって都道府県全体の値ではない。
調味料の国内生産
国内生産で見ると、油は横ばい・醤油と味噌は縮小
主要調味料の国内生産・出荷(直近年)
食用植物油脂(2025年)
約160万t
40年でほぼ横ばい(▲2.9%)
しょうゆ 出荷(2024年)
約68万kL
1979年比 ▲45.6%
みそ 生産(2025年)
約47万t
ピーク比 ▲20.1%
食酢 生産(2024年度)
約41万kL
近年はほぼ横ばい
生産の側から見ても、家計と同じ絵が浮かぶ。食用油は40年間ほぼ横ばい(約160万t)で需要が底堅い一方、しょうゆ(1979年比 ▲46%)とみそ(▲20%)は長期の縮小が続く。食酢は約41万kLで安定している。かつて統計のあった「ソース類」は農水省の調査が2010年度で終了し、その後を継ぐ公的な生産統計は確認できない——調味料の全体像を数字で追ううえでの、統計側の空白のひとつだ。油の種類と使い分けは食用油の基礎で解説している。
出典:農林水産省「食品産業動態調査」(食用植物油脂・みそ生産)/しょうゆ情報センター(出荷量)/全国食酢協会中央会(食酢・年度/2008年度まで政府承認統計・以降は業界推計)。集計基準(生産/出荷、暦年/年度)は品目で異なる。
日本の調味料のこれから
数字が示す、これからの日本の調味料
支出・生産・価格・輸入から読み取れる方向
- 「和の基礎」から「洋・簡便」へ:しょうゆ・みそ・塩は支出も生産も長期縮小、対して食用油・だしの素・つゆ・ドレッシングが伸びる。少人数化と時短・中食化が食卓の調味料を静かに入れ替えている。
- 減塩はまだ道半ば:食塩摂取は着実に減ってきたが、国内目標にもWHO目標(5g未満)にも届いていない。和の調味料の使い方の工夫が引き続き鍵になる。
- 価格は世界と為替しだい:値上がりの主役は原料を輸入に頼る食用油・マヨネーズ。国際相場と円安の影響を直接受ける構造は当面変わらない。
- 輸入依存は品目で偏る:オリーブ油は地中海、香辛料は中国と、相手国が集中する。特定産地の不作や物流の乱れが、そのまま家庭の食卓に響きうる。
- 縮む国内、伸びる海外:しょうゆの国内出荷はピークの半分になったが、輸出は35年で5.6倍に伸び、いまや出荷の7.0%が79の国・地域へ向かう。国内市場の縮小と海外市場の拡大が同時に進んでいる。
- つくり手はもっと速く減っている:しょうゆの企業(工場)数は1955年の6,000から2024年の1,013へ。出荷は千葉と兵庫の2県で過半を占め、生産の集約が進む一方で、地域ごとの味を支える小さな蔵の層は薄くなっている。
日本の調味料は、量を追う時代から「少なく・使いやすく・世界の味も取り入れて」という時代へと移っている。個々の調味料の選び方・使い方・保存は国別の調味料や世界の調味料マップから、味の設計はうま味・酸味の科学から辿れる。用途に合う代用や換算は調味料の換算ツールも使ってほしい。
統計の読み方|なぜ数字が違うのか
同じ「調味料の数字」でも、出どころの統計によって意味が変わる。家計の支出は総務省の家計調査(暦年・世帯あたり)だが、この「調味料」区分には砂糖・ジャムが含まれ、逆に食用油は別区分(油脂)で集計される——一般的な語感とはズレがある。しょうゆは業界団体の「出荷量」(輸出を含む)、みそは「生産量」と「出荷量」の2系列があり母集団が異なる。価格は総務省の消費者物価指数(2020年=100の指数)、塩分摂取は厚労省の国民健康・栄養調査(推計)だ。本ページでは数値ごとに「どの機関の・いつの・どんな単位か」を必ず添えている。
とくに注意したいのが輸入統計の品目分類で、こしょう(HS0904)にはとうがらし・パプリカが混ざり、食酢(HS2209)は種類別に分けられず、魚醤にいたっては単独のコードがなくウスターソース等と同じ区分に埋もれている。だから本ページの輸入フローは「金額ベース・品目分類の制約つき」で読んでほしい。統計の年次はそれぞれの公表サイクルに合わせて、毎年更新していく。
世帯の区分が章によって違う。家計調査には「二人以上の世帯」「単身世帯」「総世帯(両方を合わせた全世帯)」の3つの集計があり、同じ「調味料の支出」でも数字はまったく変わる。2025年でいえば二人以上45,274円/総世帯34,693円/単身17,721円だ。本ページは原則として二人以上の世帯を使っているが、県庁所在市別の章だけは総世帯——その粒度が総世帯でしか公表されていないためで、該当章に明記している。他所の記事と数字を突き合わせるときは、まずこの区分を確かめてほしい。
「いちばん新しい年次」が、いつも正しいとは限らない。統計には確定前の段階がある。輸入の章で2025年ではなく2024年を使っているのは、財務省の貿易統計で2025年がまだ「確々報」の段階にあり、確定していないからだ(確定は例年3月ごろ)。国際統計ではさらに厄介なことが起きる——たとえば国連の貿易統計は、報告した国のぶんしか集計されない。ある年について主要な輸出国が未報告のまま順位表を作ると、その国が消えて他国のシェアが実態より大きく出る。エラーは出ず、表は静かに壊れる。だから本ページでは、新しさより「そろっているか」を優先して基準年を選んでいる。
価格指数は基準年が変わった。消費者物価指数は2026年8月公表分から2025年平均=100の新しい基準に切り替わっている。本ページの価格の章は、2020年からの値上がりを一続きで見るために、同時に公表が続いている2020年基準の系列を使っている。他所の記事で「調味料の物価指数」を見かけたときは、100がどの年を指しているかを確認してほしい。
このデータの引用について・CSV配布
本ページの数値は、記事・レポート・授業資料などに出典を明記のうえ自由に引用・再掲していただけます。もとの一次資料(政府統計・業界団体・国際機関)はそれぞれの提供元の利用条件に従ってください。グラフや表をそのまま使う場合は、上の引用文とあわせてページへのリンクを添えていただけると助かります。
データをまとめて使う
本ページに載せた主要な数値を、章・指標・対象・値・単位・年次・出典の7列にそろえたCSVを配布しています(80行・UTF-8)。表計算ソフトでそのまま開けます。
最終更新 2026年9月1日。数値は各章に記した一次資料から取得し、増減率・シェア・差分は当サイトで算出しています。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご連絡ください。
参考文献
- 総務省統計局「家計調査」(品目分類・二人以上の世帯/単身世帯・1世帯あたり年間支出・暦年), https://www.stat.go.jp/data/kakei/, 取得日 2026-07-09
- 総務省統計局「消費者物価指数(2020年基準)」(調味料・食用油等の品目別価格指数), https://www.stat.go.jp/data/cpi/, 取得日 2026-07-09
- 厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」(20歳以上の食塩摂取量・p.17 図8), https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf, 取得日 2026-09-01
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(食塩相当量の目標量), https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001734207.pdf, 取得日 2026-08-30
- World Health Organization「Sodium reduction」ファクトシート(成人 ナトリウム2,000mg=食塩5g未満/日), https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/sodium-reduction, 取得日 2026-07-09
- しょうゆ情報センター(日本醤油協会)「醤油の統計資料(2024年実績)」(①出荷数量・1人あたり消費量/暦年 ②都道府県別しょうゆ等出荷数量 ③輸出数量の推移 1989〜2024年 ④企業(工場)数の推移 1955〜2024年), https://www.soysauce.or.jp/statistical-data/実データ toukei2024.xlsx, 取得日 2026-09-01
- 全国味噌工業協同組合連合会「みその統計」①生産・出荷数量(全味集計・2025年 出荷約36万t), https://zenmi.jp/data/toukei/2025/misogyokai-hp2025.pdf/②みその生産概要1968-2008(工場生産ベース累年表・1973年590千tがピーク/農林水産省 米麦加工食品生産動態等統計調査による), https://zenmi.jp/data/seisansyukka/seisangaiyou68-08.pdf, 取得日 2026-07-24
- 農林水産省「食品産業動態調査」(食用植物油脂・みその工業生産量), https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_doutai/doutai_top.html, 取得日 2026-07-09
- 全国食酢協会中央会「食酢の統計」(種類別生産実績・年度/2008年度以降は業界推計。同会サイトはSSL証明書不整合のためhttpで参照), http://www.shokusu.org/statistics/pdf/table01.pdf, 取得日 2026-07-24
- 財務省「貿易統計」品別国別表(輸入・2024年確定/オリーブ油HS1509・こしょうHS0904・香辛料HS0907〜0910・食酢HS2209。2025年は確々報までで未確定のため2024年確定を採用), https://www.customs.go.jp/toukei/info/, 取得日 2026-09-01
- 総務省統計局「家計調査(家計収支編)」第11表(都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり年間の品目別支出金額・総世帯・2025年計), https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?toukei=00200561, 取得日 2026-09-01
- UN Comtrade(国連貿易統計)「HS210310 しょうゆ・2024年 日本の輸出」(業界統計とのクロス検証に使用), https://comtradeplus.un.org/, 取得日 2026-09-01