世界の調味料 生産・貿易統計【2026年版】|スパイス・油・砂糖・発酵の一次データまとめ

世界の調味料は、産地がくっきり偏っています。量でいちばん大きい植物油は年に約2.39億トン——その3分の2をパーム油と大豆油が占め、オリーブ油は地中海で約9割、乾燥唐辛子はインドで半分以上が作られます。このページではスパイス・胡椒・唐辛子・食用油・オリーブ油・砂糖・塩・発酵調味料の生産と貿易を、FAO・IPC・USDA・IOC・USGS・国連の一次統計から一枚に束ね、毎年更新します。各章には数表を添え、主要な数値はCSVでも配布しています。日本の家計・輸入・輸出・塩分は日本の調味料統計のページにまとめています。

最終更新 2026年9月 / データ年次 スパイス・唐辛子=2024年(FAOSTAT)・胡椒=2021年(IPC)・食用油=2025/26年度+2026/27年度予測(USDA 2026年8月版)・砂糖=2025/26年度+2026/27年度予測(USDA)・オリーブ油=2024/25年度(IOC 第122回)・塩=2025年(USGS MCS 2026)・貿易=2023年(UN Comtrade/2024年は未報告国があるため据え置き) / 出典 FAO・IPC・USDA・IOC・USGS・UN Comtrade・企業IR

世界の調味料を数字で見る

世界の植物油 年間生産量(2025/26年度・USDA)
約2.39億トン
パーム油と大豆油だけで約65%3年で+9%

オリーブ油は地中海で

約91%

乾燥唐辛子の首位

インド 53%

世界の調味料は、産地がくっきり偏っている。量でいちばん大きい植物油は年に約2.39億トン——その3分の2をパーム油と大豆油が占め、オリーブ油は地中海諸国で約9割、唐辛子(乾燥)はインドで半分以上が作られる。このページではスパイス・胡椒・唐辛子・食用油・オリーブ油・砂糖・塩・発酵調味料の生産と貿易を、FAO・IPC・USDA・IOC・USGS・国連の一次統計から一枚に束ねる。個々の品目は各図鑑・ガイドへ、日本の家計・輸入は日本の調味料統計へ。

出典:USDA FAS「Oilseeds: World Markets and Trade」(2026年8月版)/IOC・FAOSTAT(各章に明記)。年度・単位は品目で異なる(§統計の読み方を参照)。

スパイス|生産の地図

スパイスに「世界総生産量」はない。品目ごとに産地が違う

主要スパイスの世界生産量(2024年・FAOSTAT・品目別)

唐辛子(乾燥)546万t
生姜489万t
その他スパイス類331万t
種子系(クミン等)267万t
胡椒93万t

「世界のスパイス生産量」という一つの数字は、実は公的統計に存在しない。FAOの統計でも、唐辛子・生姜・胡椒・種子系…と品目ごとに分かれており(”Spices, nes”は個別品目に入らない残りの寄せ集めにすぎない)、重量でみると乾燥唐辛子と生姜が二大品目だ。生産の主役は品目で入れ替わるが、インドはその他スパイス類(43%)・種子系・乾燥唐辛子で軒並み首位を占める「香辛料の超大国」。輸出でもこしょう属(HS0904)で世界の約27%、クミン等(HS0909)で約51%を握る。スパイスの世界観はスパイスの基礎で。

主要スパイスの世界生産量(トン・2024年・FAOSTAT/品目コード付き)
品目FAO品目コード世界生産量(t)
唐辛子(乾燥)6895,456,842
生姜7204,887,376
その他スパイス類(残余)7233,312,623
アニス・コリアンダー・クミン等7112,672,330
こしょう(Piper属)687933,416
シナモン693244,815
クローブ698198,941
ナツメグ・メース・カルダモン702197,199
バニラ6927,115

出典:FAOSTAT「Crops and livestock products(QCL)」2024年(データセット更新 2025-12-31・2026年9月時点で最新年は2024年)。品目コード=乾燥唐辛子689・生姜720・Spices,nes 723・種子系711・こしょう687ほか。これらを足し合わせても「スパイスの世界生産量」にはならない——723は個別品目に入らない残余の寄せ集めで、対象範囲が重ならないためである。輸出シェアはUN Comtrade 2023年の報告国合計に対する割合。数値は暦年。

胡椒|「スパイスの王」の産地と相場

「スパイスの王」胡椒は、ベトナムが世界の3分の1

黒・白胡椒の生産シェア(2021年・IPC=国際胡椒共同体)

ベトナム33.5%
ブラジル18.3%
インドネシア15.5%
インド12.1%
中国5.6%

胡椒相場の乱高下(ベトナム産・黒胡椒FOB年平均・USD/トン・2013〜2021年)

9,151
2,332
3,868
201320142015201620172018201920202021

胡椒は世界でもっとも取引されるスパイスの一つで、生産はベトナムが世界の約3分の1(33.5%)、ブラジル・インドネシアと続く。かつてインドが「胡椒の故郷」だったが、いまや新興産地が主役だ。相場の振れも激しく、黒胡椒のFOB年平均は2015年の9,151ドル/トンから2019年には2,332ドルへと4分の1近くまで落ち、2021年に3,868ドルへ戻している。天候と作付けの波が価格を大きく揺らす。なお統計は機関で食い違い、FAOの数字には黒胡椒が育たない国まで混ざるため、本ページでは実態に近いIPC(国際胡椒共同体)を主に用いている(§統計の読み方)。

胡椒(黒+白)の国別生産(トン・2021年・IPC)と、FAOSTATの同種数値との違い
IPC 2021年IPCシェアFAOSTAT 2024年
(品目687)
ベトナム180,00033.5%262,230
ブラジル98,50018.3%124,925
インドネシア83,31615.5%
インド65,00012.1%126,038
中国30,0005.6%
スリランカ25,0474.7%
世界計536,960100%933,416

同じ「胡椒の生産量」でも、機関によって世界計が53.7万トンと93.3万トンで1.7倍も違う。FAOSTATの品目687には、黒胡椒がそもそも育たない気候の国まで推計値として入っており、順位も膨らむ。年次(2021年と2024年)が違うことを差し引いても説明のつかない開きなので、本ページは産地の実態に近いIPCを主に用い、FAOの数字は比較のために並べるにとどめている。

出典:International Pepper Community「Pepper Statistical Yearbook 2021」(生産=黒+白胡椒・2021年/内訳は黒432,607t・白104,353t/相場=同書 Table 2.65「ベトナム産黒胡椒の月別FOB価格」の Average 行=年平均)。比較用のFAOSTATは品目687・2024年。2022年以降の相場は同書に収録がなく未取得。シェアは当サイトが算出。

唐辛子|新大陸から世界へ

唐辛子は「生」なら中国、「乾」ならインドが世界一

唐辛子の生産首位が、生鮮と乾燥で入れ替わる(2024年・FAOSTAT・シェア%)

乾燥(スパイス用)
生鮮(野菜・料理用)
インド
53.3%(1位)
11.9%(2位)
中国
6.0%(2位)
38.7%(1位)
タイ
5.9%(3位)
メキシコ
約1%
7.2%(4位)

同じ唐辛子でも、「生鮮」と「乾燥」では主役の国がまるで入れ替わる。世界最大の野菜生産国である中国は生鮮唐辛子(ピーマン等を含む)で世界の約39%を占めて首位。ところが乾燥スパイス用になると、インドが53%で圧倒的1位、中国は6%まで下がる。インドはグントゥールに代表される赤唐辛子の一大産地で、乾燥・粉末に加工して世界へ出荷している。唐辛子はもともと中南米原産で、メキシコで約5,600年前から利用され、1494年にヨーロッパへ渡って世界中に広がった「新大陸生まれの世界征服者」だ。辛さの仕組みはカプサイシンと辛さの科学、使い方はホットソース図鑑で。

唐辛子の国別生産(トン・2024年・FAOSTAT/乾燥は品目689・生鮮は品目401)
乾燥(t)シェア生鮮(t)シェア
インド2,909,84453.3%5,317,98911.9%
中国326,1726.0%17,307,02738.7%
タイ324,0055.9%
バングラデシュ301,3115.5%
エチオピア298,0805.5%
トルコ3,428,0387.7%
メキシコ3,220,4287.2%
インドネシア3,038,0826.8%
世界計5,456,842100%44,772,072100%

出典:FAOSTAT「Crops and livestock products(QCL)」2024年(乾燥=品目689・生鮮=品目401/いずれも辛味種と甘味種(ピーマン等)を合算した数字)。乾燥と生鮮は重量ベースがまったく異なるため足し合わせも直接比較もできない。シェアは当サイトが算出。生鮮の値はFAO Analytical Brief 121(China 39%)と一致することを確認した。歴史は Kraft et al. 2014 PNAS・Smithsonian 等の一次資料による。

食用油|世界はどの油で調理しているか

世界はどの油で料理しているか——半分近くがパームと大豆

植物油の種類別 世界生産シェア(2025/26年度・USDA 2026年8月版)

パーム 34% 大豆 30% 菜種 15%
  • パーム油 34.1%
  • 大豆油 30.4%
  • 菜種油 15.2%
  • ひまわり油 8.8%
  • その他 11.5%

世界の食用油市場は、パーム油(34%)と大豆油(30%)の二強で全体の約3分の2を占める。パーム油はインドネシア(世界生産の約57%)とマレーシアの東南アジア2か国にほぼ集中し、大豆油は中国・アメリカ・ブラジルが主産地だ。日本の食卓になじみ深い菜種油は15%、ひまわり油は9%と続く。オリーブ油は世界の植物油のわずか1.4%にすぎない——地中海の外ではむしろ「特別な油」なのだ。世界の油全体では年に約2.39億トンが作られ、2022/23年度からの3年で約9%増えた。油の種類と使い分けは食用油の基礎知識で。

植物油の世界生産(百万トン・マーケティングイヤー/USDA FAS 2026年8月版)
油種2023/242024/252025/262026/27
(予測)
2025/26
シェア
パーム油76.2078.9481.4681.4434.1%
大豆油64.0170.0772.6675.0330.4%
菜種油34.3934.2836.3437.6015.2%
ひまわり油22.1220.4121.0223.578.8%
パーム核油8.618.939.289.413.9%
落花生油6.006.316.316.342.6%
綿実油4.744.714.714.502.0%
ココナッツ油3.883.833.703.821.5%
オリーブ油2.443.333.283.251.4%
合計222.38230.83238.75244.95100%

年度の並びで見ると、伸びているのは大豆油(3年で+11百万トン)と菜種油で、パーム油は2025/26年度で頭打ちの見通しだ。2026/27年度の予測は合計244.95百万トンで、増分のほとんどを大豆油・菜種油・ひまわり油が担う。オリーブ油だけは前年の凶作と豊作で大きく上下しており、量よりも「振れの大きさ」が特徴になっている。

出典:USDA FAS「Oilseeds: World Markets and Trade」(2026年8月版・Table 03 Major Vegetable Oils)。シェアは合計238.75百万トンに対する割合として当サイトが算出。マーケティングイヤーは国ごとに始期が異なり、世界計は厳密には期のずれた合算である。パーム油の国別(インドネシア46,700千トン/マレーシア20,200千トン・2025/26年度)は同資料Table 11。

オリーブオイル|地中海の寡占

オリーブオイルは、地中海のほぼ独占

オリーブオイルの国別生産シェア(2024/25年度・IOC=国際オリーブ協会)

スペイン39.7%
トルコ14.1%
チュニジア9.5%
ギリシャ7.0%
イタリア6.9%
地中海諸国だけで世界の約91%

オリーブオイルは、生産地が地中海に極端に偏った油だ。スペイン1国で世界の約40%、トルコ・チュニジア・ギリシャ・イタリアと続き、地中海沿岸の国々だけで世界生産の約91%を占める。世界全体の生産量は2023/24年の約259万トンから2024/25年に約357万トンへ大きく回復した(前年比+38%)——オリーブは隔年結果や干ばつの影響を受けやすく、年ごとの振れが大きい。日本が輸入するオリーブ油もスペインとイタリアで9割を占める(日本の調味料統計参照)。等級と選び方はオリーブオイル図鑑選び方、産地呼称はDOP・IGPの表示で。

つくるのは地中海、飲むのはEUとアメリカ

オリーブオイルの生産と消費(千トン・2024/25年度暫定値・IOC)
国・地域生産消費消費シェア
EU2,110.01,469.045.7%
アメリカ合衆国10.0424.013.2%
トルコ505.0200.06.2%
モロッコ90.0140.04.4%
ブラジル0.077.02.4%
カナダ0.073.52.3%
チュニジア340.045.01.4%
日本0.034.01.1%
世界計3,572.03,215.0100%

生産と消費を並べると、この油の性格がよく見える。EUは世界の生産の59%を担いながら、消費でも45.7%を占める最大の消費地——作って自分たちで食べる構図だ。対照的にアメリカはほとんど生産しないのに、世界の消費の13.2%を吸い上げる最大の輸入国である。ブラジル・カナダ・日本のように生産ゼロで消費だけがある国も多い。日本の消費は34.0千トンで世界の1.1%、翌2025/26年度は42.0千トンへ伸びる見通しだ。チュニジアは340千トンを作って45千トンしか消費しない——ほぼすべてが輸出に回る典型的な産出国である。

出典:International Olive Council「KEY-FIGURES on the world market for olive oils」(第122回総会・2025年11月採択/2024/25年度は暫定値・マーケティングイヤーOct-Sep)。地中海シェアと消費シェアはIOCの国別値から当サイトが算出。EUの生産・消費はEU全体の集計値で、単一国ではない。

砂糖|二強と原料

砂糖はブラジルとインドの二強。多くはサトウキビから

砂糖の国別生産シェア(2025/26年度・USDA)

ブラジル23.5%
インド16.1%
EU8.3%
中国6.8%
タイ6.1%

砂糖の世界生産は年に約1.86億トン。ブラジル(約24%)とインド(約16%)の二強で世界の4割を占め、EU・中国・タイが続く。ブラジルはサトウキビをエタノール(バイオ燃料)にも回すため、その配分が世界の砂糖相場を動かす。原料でみると世界の砂糖の多くはサトウキビ由来で、ヨーロッパを中心にてん菜(ビート)糖が一部を占める。ただし各国で集計年度(マーケティングイヤー)がずれるため、「世界計」は厳密には年度の異なる数字の足し合わせである点に注意したい。

砂糖の国別生産(千トン・粗糖換算・USDA FAS 2026年5月号)
国・地域2024/252025/262026/27
(予測)
2025/26
シェア
ブラジル43,70043,80042,50023.5%
インド28,00030,00033,60016.1%
EU16,27715,51914,3538.3%
中国11,16012,60012,7006.8%
タイ10,24011,2589,5006.1%
アメリカ合衆国8,5258,3827,9934.5%
世界計186,056184,900100%

2026/27年度の予測では世界計が1,849万トン台へわずかに減る一方、インドが3,360万トンへ大きく回復する見通しだ。モンスーンが続いて地下水が戻り、作付けが増えたことが理由に挙げられている。逆にブラジルは、砂糖よりエタノールへ配分を寄せる見込みで減産——同じサトウキビをどちらに回すかという判断が、そのまま世界の砂糖の量を決めている。

出典:USDA FAS「Sugar: World Markets and Trade」(2026年5月号・raw value)。シェアは2025/26年度の世界計186,056千トンに対する割合として当サイトが算出。国際砂糖機関(ISO)の統計は会員限定のため代替としてUSDAを使用。甘蔗糖・甜菜糖の精製ベース比率は一次確認できず未掲載。EUは加盟国の集計値。

塩|食用は生産の一部

塩は年2.7億トン。でも食用はごく一部にすぎない

塩の国別生産シェア(2025年・USGS)と、用途の内訳

中国20.7%
アメリカ14.8%
インド11.1%
ドイツ5.6%
カナダ4.8%

塩は何に使われるか(米国・2025年/参考値)

化学工業 42% 道路融雪 37% その他 21%

塩の世界生産は年に約2.7億トンで、中国(約21%)とアメリカ(約15%)が二大生産国。だが意外なことに、そのほとんどは食卓には来ない。用途の内訳(米国のデータ)を見ると、化学工業の原料(約42%)と道路の凍結防止(約37%)だけで8割を占める。塩素と苛性ソーダの製造がその中心だ。残る2割ほどに、農業用・流通・一般工業・水処理とならんで食品加工が入る——古い年次(2019年)の内訳では食品加工は3.6%だった。私たちが「塩」と聞いて思い浮かべる調味料は、世界の塩生産のほんの一部なのだ。日本人の塩分摂取や減塩の実態は日本の調味料統計塩の基礎知識で。

塩の国別生産(千トン・USGS Mineral Commodity Summaries 2026)
2024年2025年(推計)2025年シェア
中国56,00056,00020.7%
アメリカ合衆国40,40040,00014.8%
インド34,00030,00011.1%
ドイツ15,00015,0005.6%
カナダ10,60013,0004.8%
オーストラリア12,00012,0004.4%
チリ8,9009,0003.3%
トルコ8,4008,3003.1%
世界計(丸め)275,000270,000100%

出典:USGS「Mineral Commodity Summaries 2026」(2026年2月発行・生産は2025年推計)。用途内訳も同資料の米国データ(化学工業 about 42%/道路融雪 about 37%)で、食品加工の内訳%は同資料に記載がないため、2019年のUSGS Minerals Yearbook の値(3.6%)を別年次として併記した。世界全体の用途内訳は未取得。シェアは当サイトが算出。

発酵調味料|世界統計が「無い」もの

醤油・味噌・魚醤には、世界生産統計が「存在しない」

発酵調味料は公的な世界統計の空白地帯だ

なぜ数字が無いのか。FAOの統計(FAOSTAT)は大豆や小麦といった一次産品と中間加工までが対象で、醤油・味噌・魚醤のような最終加工食品には生産統計の品目が用意されていない。貿易統計でも、醤油だけは国際共通コード(HS210310)で追えるが、味噌と魚醤は「その他のソース類」に埋もれ、国によって計上先が割れるため、世界生産量はもちろん、世界の輸出入すら正確には切り出せない。だから発酵調味料の「世界シェア」を語る数字は、そのほとんどが民間調査会社の推定値である。

唯一たどれる断片:醤油の輸出額ランキング(2023年・HS210310)

中国1.94億$
オランダ1.77億$
日本0.72億$
アメリカ0.71億$
シンガポール0.54億$

醤油の輸出でみると、意外にも中国とオランダが日本を上回る。オランダはキッコーマンの欧州工場が置かれた輸出拠点で、いまや醤油は「日本の輸出品」というより「世界各地で作られる調味料」になっている。実際、キッコーマンの売上の約78%は海外で、生産拠点も米国・オランダ・シンガポール・中国など8か所に広がる。醤油は日本発でありながら、生産の重心はとうに国境を越えている。発酵のしくみは発酵調味料の基礎、魚醤の世界は魚醤ガイドで。

醤油(HS210310)の輸出額・上位5か国(千USD・UN Comtrade)
2023年2024年
(暫定)
2024年
数量(t)
中国193,813221,724232,587
オランダ177,391204,18781,410
日本71,44280,52954,450
アメリカ合衆国70,98574,12245,100
シンガポール54,31459,88427,179

日本の数字は、国内の業界統計とも符合する。しょうゆ情報センターの集計では2024年の輸出は47,490kL・約122億円——UN Comtradeの54,450トン・80,529千USDと、比重と為替を考えれば同じ規模だ。作成主体も集計経路も違う統計が一致することは、この数字を安心して引ける根拠になる。日本側の詳しい推移は日本の調味料統計の輸出の章に置いた。

出典:UN Comtrade(HS210310「Soya sauce」輸出額・報告国ベース)/しょうゆ情報センター「醤油の統計資料(2024年実績)」/キッコーマン公式IR(海外売上高・生産拠点)。2024年を「暫定」としているのは、この年をまだ報告していない国があるため(下の貿易の章を参照)。味噌・魚醤の世界統計は存在しない。市場規模の推定値は調査会社間で1.4倍前後の開きがあり業界推定として扱う。

貿易フロー|調味料はどう動くか

アジアが作り、欧米が買う。ただし中国はその両方を担う

調味料の世界貿易フロー(2023年・UN Comtrade/報告国ベース)

主な原料スパイス輸出国(HS0904-0910)

インド(こしょう属27%・クミン等51%)
中国(生姜・ターメリック等21%)
ベトナム・マダガスカル・グアテマラ

米国・EU

加工調味料(HS2103)
の最大の買い手

世界の調味料の流れは、大きく「原料はアジア・中南米・アフリカが作り、加工品と消費は欧米が担う」構図だ。原料スパイス(こしょう・生姜・クミン等)はインド・中国・ベトナム・マダガスカル・グアテマラが輸出上位、ソース類などの加工調味料(HS2103)は米国・中国・イタリア・オランダ・タイが輸出上位で、買い手は米国・英国・EU諸国・カナダが一貫している。日本は輸出13位・輸入10位の「中規模の国」だ。ただし単純な南北分業ではない——中国は生産も輸出も加工再輸出も消費もこなす「ハブ」であり、インド産こしょうの最大の輸出先が実は中国であるなど、アジア域内の貿易も厚い。国ごとの調味料は国別の調味料世界の調味料マップで。

ソース類・調味料(HS2103)の輸出額 上位(2023年)

アメリカ11.4%
中国10.9%
イタリア9.7%
オランダ7.1%
ドイツ6.5%
タイ5.0%
日本(13位)2.5%
買い手はアメリカ13.1%・英国7.1%・フランス6.0%
ソース類・調味料(HS2103)の輸出入・2023年(百万USD/シェアは報告国合計に対する割合)
順位輸出国輸出額輸入国輸入額
1アメリカ合衆国2,242.5(11.4%)アメリカ合衆国2,404.3(13.1%)
2中国2,159.2(10.9%)英国1,311.5(7.1%)
3イタリア1,912.5(9.7%)フランス1,107.2(6.0%)
4オランダ1,398.6(7.1%)ドイツ1,064.1(5.8%)
5ドイツ1,278.8(6.5%)カナダ1,025.6(5.6%)
6タイ981.3(5.0%)オランダ656.7(3.6%)
13/10日本494.1(2.5%)日本355.8(1.9%)
報告国合計19,720.6報告国合計18,355.7
スパイスの輸出(2023年・HSコード別・報告国合計と首位国)
HS品目世界輸出(百万USD)輸出1位
0904こしょう属・とうがらし属5,320インド 26.6%
0910生姜・ターメリック等3,180中国 20.7%
0909アニス・クミン等の種子1,610インド 50.5%
0908ナツメグ・メース・カルダモン1,070グアテマラ 34.4%
0906シナモン910ベトナム 28.2%
0907クローブ610マダガスカル 40.9%
0905バニラ530マダガスカル 51.0%
合計(0904〜0910)13,230

なぜ2024年ではなく2023年なのか。UN Comtradeには2024年のデータもある。しかし2026年9月時点でベトナムが2024年をまだ報告していない。こしょう(HS0904)でいえば、2023年に8.7億USDを輸出していた同国が2024年の表からそっくり消え、報告国も142から124へ減る。シナモン(HS0906)では2023年の輸出1位がベトナムなのに、2024年の表ではスリランカが1位に見えてしまう。エラーは何も出ず、順位表だけが静かに壊れるのだ。だから本ページは「いちばん新しい年」ではなく「報告がそろっている年」を選んで2023年に据え置いている。醤油(HS210310)だけは日本自身が報告済みで、国内の業界統計とのつき合わせに使えるため、暫定と明記したうえで2024年の値も載せた。

出典:UN Comtrade(2023年・年次・報告国ベース/2026年9月1日取得)。ソース類=HS2103、スパイス=HS0904-0910。「世界輸出」は各年に報告のあった国の合計で、未報告国は含まない——機関によっては推計を加えた別の「世界計」を公表しており、その場合はシェアが大きめに出る。シェア・順位・合計はこの報告国ベースの数字から当サイトが算出した。EUのようなブロック集計は国別の順位に混ぜていない。

統計の読み方|機関差と単位

世界の調味料の統計は、機関によって「何を・いつ・どう数えるか」がまちまちだ。生産量はFAOSTAT(暦年・重量)だが、スパイスに「総生産量」の一項目はなく品目ごとに分かれ、胡椒はFAOの数字に黒胡椒が育たない国まで混ざるため、本ページでは実態に近いIPC(国際胡椒共同体)を優先した。唐辛子は生鮮と乾燥で数字が一桁違い、しかも辛味種と甘味種(ピーマン)が合算されている。

食用油・砂糖はUSDAの「マーケティングイヤー」(国ごとに開始月が違う年度)で集計され、暦年とはずれる。オリーブ油はIOCのOct-Sep年度、はUSGSの暦年推計だ。そして醤油・味噌・魚醤には世界生産統計が存在せず、市場規模の数字は民間推定にすぎない。本ページは数値ごとに機関・年次・単位を明記し、それぞれの一次資料の公表サイクルに合わせて毎年更新していく。より深い品目別・国別の数字は、各スポーク記事へ順次つないでいく。

「いちばん新しい年」がいつも正しいとは限らない。国連の貿易統計は、その年を報告した国のぶんしか集計されない。ある年に主要な輸出国が未報告のまま順位表を作ると、その国が消えたぶんだけ他国のシェアが実態より大きく出る——エラーも警告も出ないまま、表だけが静かに壊れる。本ページの貿易の章が2024年ではなく2023年を使っているのはこのためだ(詳しくは貿易の章に書いた)。同じ理由で、貿易額の「世界計」は報告国の合計と定義し、推計を加えた別の世界計とは区別している。

月ごとに書き換わる統計もある。USDAの食用油・砂糖のサーキュラーは毎月更新され、過去年度の数字も改訂される。本ページは食用油=2026年8月版、砂糖=2026年5月号と、参照した版を明記している。他所で見かけた数字と食い違うときは、まず「どの版か」を確かめてほしい。

このデータの引用について・CSV配布

出典:世界の調味料 生産・貿易統計【2026年版】(AJIMUSE)/ https://ajimuse.com/seasoning-statistics-world/

本ページの数値は、記事・レポート・授業資料などに出典を明記のうえ自由に引用・再掲していただけます。もとの一次資料(FAO・USDA・IOC・USGS・UN Comtrade等)はそれぞれの提供元の利用条件に従ってください。グラフや表をそのまま使う場合は、上の引用文とあわせてページへのリンクを添えていただけると助かります。

データをまとめて使う

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最終更新 2026年9月1日。数値は各章に記した一次資料から取得し、シェア・合計・倍率は当サイトで算出しています。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご連絡ください。

参考文献

  1. FAOSTAT(国連食糧農業機関)「Crops and livestock products(QCL)」(スパイス・唐辛子の生産量/2024年・暦年), https://www.fao.org/faostat/en/#data/QCL, 取得日 2026-07-09
  2. International Pepper Community(国際胡椒共同体)「Pepper Statistical Yearbook 2021」(胡椒の生産・相場), https://www.ipcnet.org/statistics/, 取得日 2026-07-09
  3. USDA Foreign Agricultural Service「Oilseeds: World Markets and Trade」(2026年8月版・植物油の種類別/国別生産・2025/26年度と2026/27年度予測。月次で改訂されるため参照した版を明記), https://apps.fas.usda.gov/psdonline/circulars/oilseeds.pdf, 取得日 2026-09-01
  4. International Olive Council(国際オリーブ協会)「KEY FIGURES on the world market for olive oils」(第122回・2025年11月採択/2023/24年度確定・2024/25年度暫定・2025/26年度予測の生産/輸入/消費/輸出), https://www.internationaloliveoil.org/wp-content/uploads/2025/12/122-HO-2025.pdf, 取得日 2026-09-01
  5. USDA Foreign Agricultural Service「Sugar: World Markets and Trade」(2026年5月号・砂糖の国別生産/2025/26年度と2026/27年度予測), https://apps.fas.usda.gov/psdonline/circulars/sugar.pdf, 取得日 2026-09-01
  6. USGS(米国地質調査所)「Mineral Commodity Summaries 2026 / Salt」(2026年2月発行・塩の国別生産と米国の用途内訳。食品加工の内訳%のみ「Minerals Yearbook 2019」を別年次として併記), https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-salt.pdfMinerals Yearbook 2019, 取得日 2026-09-01
  7. UN Comtrade(国連貿易統計)「HS210310 醤油/HS2103 ソース類/HS0904〜0910 スパイスの輸出入」(2023年・報告国ベース。2024年はベトナム等が未報告のため基準年を2023年に据え置き、醤油のみ暫定として2024年を併記), https://comtradeplus.un.org/, 取得日 2026-09-01
  8. キッコーマン株式会社「IR資料(海外売上高・生産拠点)」(醤油の世界展開), https://www.kikkoman.com/jp/ir/lib/oversea.html, 取得日 2026-07-09
  9. Spices Board India(インド商工省)「Item-wise export of spices」(インドのスパイス輸出), https://www.indianspices.com/export/major-itemwise-export.html, 取得日 2026-07-09
  10. しょうゆ情報センター(日本醤油協会)「醤油の統計資料(2024年実績)」(醤油輸出のクロス検証に使用), https://www.soysauce.or.jp/statistical-data, 取得日 2026-09-01